中級の会話活動をしているとき、学生から「先生、『久しぶり』って何ですか?」という質問がありました。「久しぶり=久しい+ぶり」であり、久しい=長い時間を意味する(イ)形容詞だとして、、、、、、「ぶり」って何だろう?
この記事では「〜ぶり」の持つ機能について「〜ごと」と比較しながらまとめていきたいと思います!
〜ぶり
【形】N+ぶり *Nは時間・期間を表す名詞
【意味】空白の時間・期間を表す。「NぶりにVする」のように動詞がくる場合は、Nの期間の間、Vすることがなかったことを意味する。
【例文】
・国に帰るのは3年ぶりだ。
・10年ぶりに新刊が発売された。
・久しぶりに中学校のときのクラスメイトと会った。
【ポイント】
Nは話し手が長いと感じている期間を指しています。そのため、短い時間を表す名詞が入ると不自然な文になるので注意が必要です。
△5分ぶりにメールの返信が来た。
△ 1日ぶりに実家に帰った。
Nの期間が長いか・短いかの判断基準は、話し手の主観(Vにあたる行動が一般的にどのくらいの頻度で行われるものなのか )によります。なので、月・年=長い/日・時間=短い、という単純な時間の区切りで判断・説明しないことが大切です。
a. 1週間ぶりに学校に行った。 ○
b. 1週間ぶりに髪を切った。 ?
+α 様子を表す「~ぶり」
①彼の仕事ぶりを見て、もっと頑張らないといけないと感じた。
②その少年は名探偵のような口ぶりで事件を解決した。
③上司の前でつい知ったかぶりをしてしまう。
Nの様子を表しているという点は①〜③に共通していますが、②③は「まるで〜のような」と同じように、本当のように見せかける「ふり」の意味が加わっています。
〜ごとに
【形】N+ごとに *Nは時間・期間を表す名詞
【意味】時間・期間の間隔を表す。「NごとにVする」のように動詞がくる場合は、Vが一定の間隔(N)で行われることを意味する。
【例文】
・30分ごとにバスが出ている。
・この店は1ヶ月ごとにメニューが入れ変わる。
・うちの会社は5年ごとに大きな人事異動がある。
【ポイント】
Nは繰り返し行われる動作(V)の間隔を表すため、一定のサイクルがあることに重きを置いた表現になります。これは「〜ぶり」と比較するとよりはっきりわかります。
a. 5年ぶりにここで展覧会が開かれる。
b. 5年ごとにここで展覧会が開かれる。
aは前回の展覧会開催から今回の開催までに5年の空白期間があったという事実に注目しているのに対して、bは5年というサイクルで展覧会が開催され続けていることに注目していることがわかります。
まとめ
〜ぶり:前回から今回までの空白の時間・期間を表す。
〜ごと:繰り返し行われる動作(V)の間隔を表す。
同じ期間・現象であっても話者の注目するポイントや時間感覚によって適切な表現は異なってきます。学生ともそうした違いについて共有しつつ、学生たちが伝えたいことをなるべくそのまま形にできるような授業をしていきたいです🌱
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
コメント