〜ていく・〜てくる 意味・使い方【例文付き】

初中級編

N:名詞 V:動詞 Na:ナ形容詞 A:イ形容詞 

形と意味

【形】V(て形)+いく
   V(て形)+くる

【空間的・時間的イメージと意味】
*→・・・・・・・・→→・・・・・・・・・→*
(近づいてくる様子)    (遠ざかっていく様子)    
〜てくる         〜ていく

以前→・・・・・・・・・→今(基準時)→・・・・・・・・・・→以降
(以前から基準時にかけて)       (基準時からそれ以降にかけて)
〜てくる               〜ていく

〜てくる:物事や状況が基準点に「近づく」方向で起こることを意味する。
〜ていく:物事や状況が基準点に「遠ざかる」方向で起こることを意味する。

例文

①ここまでは歩いてきたが、ここからは走っていく。(空間的)
②朝ご飯は家で食べてきたが、昼ごはんはここで食べていく。(空間的)
③5月に入って暑くなってきたが、梅雨明けからはさらに暑くなっていく。(時間的)
④コロナの影響で、近年は外国人観光客が減ってきていたが、今後は再び増えていく(だろう)。(時間的)

分析のポイント

例文①のようにVが「歩く、走る、泳ぐ、飛ぶ」などの移動に関する動詞の場合、「移動の方法+移動の方向性」を示すことができる。

ここ(基準点)までは歩いて(移動方法)きたが、ここからは走っていく。

例文②のようにVが移動に関する動詞意外の場合、
ある動作を完了した後で基準点に近づく/基準点から遠ざかる、といった「何かの動作→移動」(順次的動作)を表すことができる。

②朝ご飯は家で食べて(ある動作)→きた(基準点へ近づく)が、
 昼ごはんはここで食べて(ある動作)→いく(基準点から遠ざかる)

+α
「Nを着る、はく、持つ、連れる」など付帯の意味をもつ動詞の場合は、その動作後にNを伴ったまま移動することを意味する。
・海にペットを連れて行く。
   日焼け止めを持っていく。
   水着を着ていく。

③④のようにVが無意思動詞(なる、増える、減る)の場合、
基準時点までの状態の変化を表すことができる。

④近年は外国人観光客が減ってきて(↘️の変化)いたが、今後は再び増えていく(↗️の変化)
*「近年〜てくる」「今後〜ていく」といった一緒に使う語彙も押さえておく!

教えるときのポイント

私は「〜てくる・〜ていく」はいつ・どんな時に使うか、状況を示すことが大切な文型だと思います。あってもなくても意味が大きく変わらない場合もあれば、意味が変わる場合・必要な場合もあります。

例えば、次の文の違いはどこにあるでしょうか?

a.コンビニに行くの?アイス買って。
b.コンビニに行くの?アイス買ってきて。

a は「話者もコンビニに行ってその場で買ってもらう」イメージがある一方で、bは「話者は家にいて、聞き手は[アイスを買う→持ち帰る]イメージになります。


c.(電話で)悪いんだけど、今日は外で食べてきてくれない?(○)
 (電話で)悪いんだけど、今日は外で食べてくれない?(○)

d.先週出した宿題は持ってきましたか。(○)
   先週出した宿題は持ちましたか。(?)

cは外でご飯を食べてくること自体に焦点が置かれているため、「〜てくる」の有無はそれほど重要ではありませんが、dのように宿題を提出する(付随)に焦点が置かれている場合は「てくる」は必要になります。

学習者にはなるべく例文・イラストや写真を使ってどんな状況で使われるのかを示したいと思います。

(時間的)
T:先生、最近ダイエットをしてます。-10kgです!
 どうですか?やせましたか?細いですか?
S:うーん、
T:先月は-3kgでした!今月(~今)は-1kgです。少しずつやせてきています。
  今月(これから)は-kg、来月は-kg、●月は-kg、やせていきます!-10kgがんばります! 

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