〜たら・と・ば・なら [整理編] 意味・使い方【例文付き】

初中級編

最近、暑くなってきましたね☀️今日は晴れてたので日傘を使いました。
さっそく今日のテーマ「〜たら・と・ば・なら」に移りましょう。

次の例文のうち、みなさんにとって一番しっくりくるのはどれですか?

a. 晴れたら、日傘を使う。
b. 晴れれば、日傘を使う。
c. 晴れると、日傘を使う。
d. 晴れるなら、日傘を使う。

aが一番しっくりくる気がします、、、でも、「他の選択肢の何がどう変なの?」と聞かれると説明するのは難しいかもしれません、、、、。
では、次の例文はどうでしょうか。

e. 晴れたら、日傘を使おう。
f. 晴れれば、日傘を使おう。
g. 晴れると、日傘を使おう。
h. 晴れるなら、日傘を使おう。

なんだか1文字足しただけなのに、なんだかgはより不自然な印象になってしまいました。
「〜たら・と・ば・なら」は条件文(前文が後文の条件を表す文)と言われているだけあってそれぞれにいろいろな制約やルールがあってややこしいです。そこで、今回は3つの視点に絞ってなるべくシンプルに整理し直してみました。

整理の前に

ことばに限らず、何か2つの別のものを比べたり分析するときには視点や観点を整理することが大切です。例えば、

うどんとラーメンは違う。
・うどんは和食だけど、ラーメンは黄色い。
・うどんは和食だけど、ラーメンは中華だ。

②は観点が「料理のジャンル」に絞られているので①よりわかりやすいですよね。
同様に今回は「〜たら・と・ば・なら」の違いを整理しやすくするために以下①〜③の3つの観点で分析を進めようと思います。

①仮定レベル:「〜たら・と・ば・なら」の前に来る前文(〜の部分)が起こる確率
       <仮定レベル:低>:必ず起こる・高い確率で起こると思われるもの。確定条件
       <仮定レベル:中>:起こるか起こらないかわからないもの。仮定条件
       <仮定レベル:高>:実際には起こっていないこと・起こり得ないことについて仮定する。反実仮想

②時間的な前後関係
③後文に断定・言い切り以外の形(意志・勧誘・命令など)がくるかどうか

それでは1つずつ分析しながら見ていきましょう。

〜たら

【形】Vタ+ら
   (イ・ナ)Aタ+ら
   Nだった+ら  

【意味】特定の状況( 前文「〜たら」)の中に、話し手の言いたい意見(後文)がある

【例文】
・この宿題がおわったらゲームをする。
・春になったら花見をしよう。
・何かあったらいつでも連絡して。
・俺だって身長があと5cm高かったら、、、、(モテたはず!!)

【ポイント①仮定レベル】

「〜たら・と・ば・なら」の中でも最も広い範囲(低〜高)に使える。

<仮定レベル:低>確定条件
・春になったら花見をしよう。(春には毎年必ずなる)
・20歳になったらお酒が飲める。(20歳には必ずなる)
・この宿題がおわったらゲームをする。(宿題を終わらせることを前提としている=高確率で起こる)

<仮定レベル:中>仮定条件
・明日晴れたらドライブに行く
・何かあったらいつでも連絡して。
・事故が起きたらまず110番すること。

<仮定レベル:高>反実仮想
・俺だって身長があと5cm高かったら、、、、(モテたはず!!)
(「5cm高い」=身長が低いという現実に反している仮定)

【ポイント②時間的な前後関係】

 必ず前文→後文の順番で起こる

・この宿題がおわったらゲームをする。[宿題が終わる→ゲームをする]
・春になったら花見をしよう。[春になる→花見をする]
・何かあったらいつでも連絡して。[何かある→連絡する]

【ポイント③後文に断定・言い切り以外の形(意志・勧誘・命令など)がくるか】

 結論:くる◯

・この宿題がおわったらゲームをする。(断定・言い切り)
・春になったら花見をしよう。(勧誘)
・何かあったらいつでも連絡して。(依頼)
・事故が起きたらまず110番すること。(命令)

+α
「〜たら・と・ば・なら」の中で最も汎用性が高いのが「〜たら」なので、学習者には基本的に条件文は「〜たら」でOK!と伝えます。
その後の学習の過程で「〜たら」が使えない状況、「と・ば・なら」を使う方が自然な場合を後から教えていく方が学習者にとって負荷が少ないかなと思います。

〜と

【形】Vル・Vナイ+と
   イA(い)/ナA(だ)+と
   Nだ+と  

【意味】前文(〜と)と後文のつながりが非常に強く、前文が起こったら必ず(高確率で)後文が起こる

【例文】
・このボタンを押すと音が出る。
・ポテトチップを毎日食べると太る。
・夏になると海へ行く。

【ポイント①仮定レベル】

仮定レベル 低(確定条件)と中(仮定条件)両方で使える。

<仮定レベル:低>確定条件
・春になる桜が咲く。
・雨が降る気温が下がる。

<仮定レベル:中>仮定条件
・ポテトチップを毎日食べる太る。
・何かあるいつも両親に相談する。

<仮定レベル:高>反実仮想
?俺だって身長があと5cm高い、、、、(モテたはず!!)

【ポイント②時間的な前後関係】

 必ず前文→後文の順番で起こる

・このボタンを押す音が出る。[ボタンを押す→音が出る]
・ポテトチップを毎日食べる太る。[ポテトチップを毎日食べる→太る]
・夏になる海へ行く。[夏になる→海へ行く]

【ポイント③後文に断定・言い切り以外の形(意志・勧誘・命令など)がくるか】

 結論:こない×

「〜と」は事実に関する説明の意味合いが強いため、話し手の意志や感情が入りにくい。
◯ 夏になると海へ行く。(断定・言い切り:毎年繰り返される習慣)
? 夏になると海へ行こう/行きましょう。

+α
Vナイ+と:「〜ないと」は注意喚起・警告の意味合いが加わります。
・早く行かないと遅刻するよ。
・今日までにレポート出さないと卒業できないかもしれない。

〜ば

【形】Vバ
   (い)Aけれ+ば
   
【意味】前文(〜ば)が後文が成立するために必要な条件となっている。

【例文】
・車の免許を取れ運転ができる。
・20歳になれお酒が飲める。
・本を読め賢くなる。

【ポイント①仮定レベル】

仮定レベル 低(確定条件)〜高で使える。

<仮定レベル:低>確定条件
・春になれ桜が咲く。
・20歳になれお酒が飲める。

<仮定レベル:中>仮定条件
・車の免許を取れ運転ができる。
・本を読め賢くなる。

<仮定レベル:高>反実仮想
・俺だって身長があと5cm高けれ、、、、(モテたはず!!)
(「5cm高い」=身長が低いという現実に反している仮定)

【ポイント②時間的な前後関係】

必ず前文→後文の順番で起こる
・車の免許を取れ運転ができる。[車の免許を取る→運転ができる]
・20歳になれお酒が飲める。[20歳になる→お酒が飲める]
・本を読め賢くなる。[本を読む→賢くなる]

【ポイント③後文に断定・言い切り以外の形(意志・勧誘・命令など)がくるか】

結論:前文の主語と後文の主語が異なっている場合のみ成立する △

◯ 彼が「嫌だ」と一言言えこの話は白紙戻そう。(意志)
彼が「嫌だ」と一言言えば(わたし=話し手が)この話は白紙戻そう。

◯ 何か意見があれ言ってください。(依頼)
=何か意見があれば(あなた=聞き手が)言ってください。(依頼)

? 車の免許を取れば、海に行きたい。
(わたし=話し手が)車の免許を取れば、(わたし=話し手が)海に行きたい。

〜なら

【形】V(普通形)+なら
   (な)Aな+ら
   Nな+ら 

【意味】文脈の中で出てきた主題(トピック)や相手の言葉を受けてそれに言及(提案や要求など)する

【例文】
・A:ポケモン好きなんだ〜
 B:私はポケモンなら水タイプが一番好きかな〜
・A:今月ボーナス入るじゃん?ついに車買おうと思って。
 B:車?初めて買うなら中古にしておいた方がいいよ〜。
・A:(出かけようとしている)
 B:あ、外に出るならついでにゴミ出してきて。

【ポイント①仮定レベル】

仮定レベル 低(確定条件)に使うことはできない

<仮定レベル:低>確定条件
? 春になるなら桜が咲く。(春には毎年必ずなるので×)
? 20歳になるならお酒が飲める。(20歳には必ずなるので×)

<仮定レベル:中>仮定条件
・車の免許を取るなら短期集中コース講習がおすすめです。
・中国に行くならぜひ本場の中華を食べたい。

<仮定レベル:高>反実仮想
・俺だって身長があと5cm高かったなら、、、、(モテたはず!!)

【ポイント②時間的な前後関係】

〜ならは他の条件文とは違い、時間的な制約を受けません。

・中国に行くなら中国語を勉強しておかないと。[中国語を勉強する→中国に行く]
・中国に行くならぜひ本場の中華を食べたい。[中国に行く→中華料理を食べる]

【ポイント③後文に断定・言い切り以外の形(意志・勧誘・命令など)がくるか】

 結論:くる◯

・A:(出かけようとしている)
 B:あ、外に出るならついでにゴミ出してきて。(依頼・命令)
・中国に行くならぜひ本場の中華を食べたい。(願望)

学生:今度中国に旅行に帰るんです。お土産何がいいですか?
私:そうなんですか〜、中国に帰るならぜひきゅうり味のポテトチップスを買ってきてください!
(実際に学生と私にの間であった会話です。紙袋いっぱいにきゅうり味のポテチ買ってきてくれました😂)

まとめ

①仮定レベル:「〜たら・と・ば・なら」の前に来る前文(〜の部分)が起こる確率②時間的な前後関係
③後文に断定・言い切り以外の形(意志・勧誘・命令など)がくるかどうか

この3つの観点で「〜たら・と・ば・なら」について表にまとめてみました。

「〜たら・と・ば・なら」はこの他にも過去・非過去の区別などもあり、まだまだ書きたいことはありますが、この記事はここまでで一区切りにしたいと思います。

「正直、こんがらがってきた、、、」という方もいるかもしれません。
「〜たら」が一番使いやすいのですが、「じゃあ仮定は全部「たら」でOK!」ともいきません。やっぱり「ば」や「と」を使った方がより自然な場合があります。

そこで、次の記事では「結局、いつ・どんなときに使えばいいの??」という点に絞って「〜たら・と・ば・なら」についてまとめたいと思います。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました🌱


↓「〜たら・と・ば・なら 〜活用編〜」も書きました。
 お時間のあるときにでもぜひ🌱

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