「〜ながら/〜まま/〜ぱなし」用法【例文付き】

初中級編
次のa~cを読んでどんな様子をイメージしますか?
a.立ちながらラーメンを食べる。
b.立ったままラーメンを食べる。
c.立ちっぱなしでラーメンを食べる。

、、、全部同じイメージ??
〜ながら」「〜まま」「〜ぱなし」の違いって何でしょうか。今日はその違いや使い方についてまとめてみたいと思います。

〜ながら

【形】V1マス+ながら+V2

【意味】ある動作(V1)を行うと同時にもう一つの動作(V2)を行う。(付帯状況のひとつ) 「〜ながら」の部分が付帯する状況になるため、V1とV2を比較すると、V2が主に行っている動作となる

【例文】
・音楽を聴きながら勉強する。
・メモをとりながら話を聞く。
・説明書を読みながら組み立てる。
・働きながら子育てをする。

【ポイント】
意味はシンプルな文型ですが、V1に使われる動詞には少し注意が必要です。授業で例文を準備するためにも知っておきたいポイントをまとめました。

まず、同時に2つの動作を行うという特性上、V1にはある程度の幅のある動詞が用いられることが多く、逆に幅のない動詞、つまり瞬間的に完了する動詞( 死ぬ・入る・出る・目が覚める)とは相性が悪いと言われています。

 △死にながら、助けを呼んだ
 △家から出ながら、コートを着た。
 △目が覚めながら、あくびをした。

しかし、一方で「立つ・座る・持つ・着る」など瞬間的に完了する動詞の中でも「ながら」と共に使ってそれほど不自然でないものもあります。

 ・スマホを持ちながら湯船につかる。
 ・ミッキーのTシャツを着ながら怒られてもこわくない。

また、同時に行われる動作について言いたい場合、V1には「食べる・読む・歩く・聴く」などの意志動詞が用いられます。もしV1に「知る・ある・なる・できる」などの無意思動詞が使われる場合、前件に対して後件が予想に反する「逆接」の意味を持ちます。

・だまされていると知りながら何も言わなかった。
・まだ子どもでありながらきちんと挨拶ができる。

「〜ながら」を導入する際には「食べる・読む・歩く・聴く」などのある程度幅がある意志動詞を使って導入をする方が学習者にとってはわかりやすいかもしれません。

〜まま

【形】Vタ・Vナイ+まま

【意味】ある動作(V)によって状態に何らかの変化が生じる。その変化が動作後も続いている様子。

【例文】

・電気をつけたまま寝る。(暗い→電気をつける→明るい、という状態の変化)
・窓を開けたまま出かける。(閉まっている→窓を開ける→空いている、という状態の変化)
・図書館から本を借りたまま返していない。(本がない→本を借りる→本がある、という状態の変化)

【ポイント】
ある動作(V)によって変化が生じないものは「〜まま」と一緒に使うことはできません。

 △音楽を聴いたまま勉強する。(「聴く」は変化を起こさない)
 △メモをとったまま話を聞く。(「メモをとる」は変化を起こさない)

この点は「〜ながら」と大きく違うので覚えておきたいところかなと思います✏︎

また、「〜まま」の前件は後件に対して不適切だと思われる動詞がきやすいです。例えば、

①立ったまま寝る/スーツを着たまま寝る/カーテンを開けたまま寝る
②横になったまま寝る/パジャマを着たまま寝る/カーテンを閉めたまま寝る

①の「立つ・スーツを着る・カーテンを開ける」は「寝る」という動作に対して不適切な印象を受けるため「〜まま」を使った表現が自然に感じます。
一方で、②は不自然とまではいきませんが「横になって寝る/パジャマを着て寝る/カーテンを閉めて寝る」のようにVテを使って順次動作で表現した方が自然なように思います。

ここで先ほど取り上げた「〜ながら」との違いについても触れておきます。

・音楽を聴きながら勉強する
・テレビをながらご飯を食べる

「〜ながら」は前後の動詞の関係が不適切ということはないです。むしろ同時に行う動作としてより自然な動詞の組み合わせになっていることが多いです。
この点も「〜ながら」と「〜まま」の大きな違いになります。

+α <A/Naな/Nの+まま>の接続
・5年前に買ったが全然使ってないので、新しいままだ。
・あんなに練習したのに下手なままなのはくやしい。
・ずっと待ってるのに信号は赤のままだ。

〜ぱなし

【形】Vマス+っぱなし

【意味】ある動作(V)によって本来の状態に何らかの変化が生じ、そのイレギュラー(変則的・例外的)な状態のまま放置されている様子。

【例文】
・服が脱ぎっぱなしで廊下に落ちている。
・電気をつけっぱなしで寝てしまった。
・ほら、おもちゃが出しっぱなしだよ。早く片付けて!

【ポイント】
「〜っぱなし」の持つ「放置されている状態」の意味から受け手は「イレギュラーで良くない状態である」というニュアンスを感じます。

・服が脱ぎっぱなし➡︎本来は洗濯籠に入れる・ハンガーにかけるべき!
・電気をつけっぱなし➡︎本来は消すべき!(電気がついていてもおかしくない時間帯には使わない)

そのため、デフォルト(普通)の状態に対しては何の文脈・状況説明もなく「〜っぱなし」は使いにくいように思います。

・服を着っぱなし??
・電気を消しっぱなし??
・ドアを閉めっぱなし??

この点に関して考えると、
「〜まま」は、ある動作による状態の変化が継続している、ということだけを意味しています。そのため、後件にくる動詞に対して前件の状態が不適切かどうかだけが焦点になります。その一方で、「〜ぱなし」はそれ自体がイレギュラーな状態を指し、適切な状態に戻さないといけないというニュアンスを帯びています。

a.スーツを着たまま寝た。(「寝た」に対して「スーツを着る」が不適)
b.服が脱ぎっぱなしだ。(「脱いだまま放置」がイレギュラーで良くない状態→片付けないと!)

まとめ

それぞれの意味
〜ながら:ある動作(V1)を行うと同時にもう一つの主な動作(V2)を行うこと
〜まま:ある動作(V)によって生じた変化が動作後も続いている様子
〜ぱなし:動作(V)によって本来の状態に生じたイレギュラー(変則的・例外的)な状態が放置されている様子

「〜ながら」VS「〜まま」
・・・「〜まま」の前件は後件に対して不適切だと思われる動詞がくるが、「〜ながら」はにはそれがなく、同時に起こっても自然な動詞の組み合わせになる。

「〜まま」VS「〜ぱなし」
・・・「〜まま」後件にくる動詞に対する前件の状態が不適切かどうかが大事。「〜ぱなし」はそれ自体がイレギュラーな状態を指す。

もっと色々まとめたかったのですが、今日はここまでにしようと思います🌱
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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